旅で出会った人たち②
さっぽろ雪まつりに行った時のこと。
私と妻は時計台の前で写真を撮っていた。
正確にいうと写真を撮ってもらっていた。
すると、私のとなりにブロンドの髪に青い目をした、いかにもアメリカ人と思われる女性が立っているのに気付いた。
彼女の容姿は
「ER救急救命室」のスーザンルイスのような人だった
どうやらひとり旅なのか、彼女はオドオドと不安そうな表情だった。
私は放っておけず
「Shall we take a photo ?」というと
彼女の表情は満面笑みに変わり、私にスマホを渡した。
写真を数カット撮ってあげた後、再び尋ねた。
「Where did you come from ?」
『フロリダデス!』
なんだ日本語話せるんだ!(心の声)
私は思わず
「フロリダ暑いじゃん! サッポロ寒いよ!」といい
更に
「Youは何しに日本へ?」と続けると
彼女は照れ笑いをしながら
『ワタシ 藤沢デ 英会話ノ教師シテマス』といった。
ここで謎が解けた!
アメリカは多民族国家だから、自分の意思をはっきり伝えないと生きていけない。
だから堂々としている人が多いのだが、彼女は長年日本に住んで、日本人の謙虚な態度や周囲の空気を読む習慣が自然に身に付いていたのだろう。
ひとことでいうと日本人化してしまったのだ!
そうと分かると急に近親感が湧いてきて
「家に着くまでが旅だからね! 気をつけて楽しんで帰ってね!」というと
「アリガトウゴザイマス!」といって目を輝かせながら去っていった。
2人で彼女を見送ると、妻が言った
「パパ、完全にあの子のお父さんになってたよ!」