旅で出会った人たち③
札幌から新千歳空港に向かう電車の中で
日本はインバウンドの最中、車内は外国人観光客で溢れていた。
残念ながら私も妻も座席には座れなかったが、とりあえずバッグを荷台に乗せ車窓を眺めていた。
座席は満席だったが、それは日本風のゆったりとした座り方だった。
立っている妻の目の前にはポリネシア人と思われる太った(失礼!)女性が座っていた。
すると、その女性はそのたくましいお尻(失礼!)を左右に動かして他の乗客を詰めて一人分の空スペースを作った。
そして彼女は満面の笑みを浮かべ、私の妻に手招きをして隣に座る様に促したのだ。
その好意に私も妻も驚いてしまった。
日本人だったら左右の乗客とトラブルを起こしたくないと考えるし、なにより恥ずかしくて出来ないだろう。
それを彼女はいとも簡単に瞬時に成し遂げてしまったのだ。
すばらしい!
その後、彼女と妻は特に会話を交わす訳でもなく、何事もなかったように電車は新千歳駅に到着した。
言葉も名前も国も分からない人間同士が気配りをし合えるなんて、なんて素晴らしい事だろう。
私は久しぶりにこの女性から感動という思い出をいただいて帰路につくことが出来た。