旅で出会った人たち⑧
10年くらい前の話
私たちは車山高原から八島ヶ原湿原までハイキングをすることにした
「パパ、こっちでいいの?」
「う~ん、いいと思うよ!」(たぶん)
車山山頂へはリフトで楽ちん!
天気が良いと八ヶ岳や白樺湖が見える
車山肩まで来た
鹿がニッコウキスゲを食べちゃうので、最近は電線で保護されている
ついに八島ヶ原湿原に着いた
素晴らしい景色だ!
ここまで歩いてきた甲斐がある
地図にするとこんな感じ
帰りはさすがに疲れたのでバスで帰ろうとしたのだが、ここでちょっとした事件が起きた!
バス停の時刻表を見ると休日は運行をしていない(今は分かりません)ことが分かった。
そこで八島ヶ原湿原の案内所で尋ねたのだが同じ返事で、タクシーを呼ぶしかないことが分かった。
タクシーは茅野市街から来るから時間は掛かるが、呼出し料金(?)は掛からないということなのでタクシーを1台お願いした
バス停近くでタクシーを待っていたところ、若い家族連れが時刻表を見ているのに気付いた
夫婦2人と小学生くらいの子ども2人
その家族は今日はバスが運行していないのを知らないのか、しばらくバス停で待っていた
私は黙っていられずに「今日はバスが運行してませんよ」とやさしく言った
すると、若い母親は「嘘!!!」と激しい口調で私に言い返してきた
よく若い子の中で「え~! うそ~?!」とか言っている会話は聞いたことがある
しかし、それは親しい友だち同士や家族内でやりとりする言葉で、見ず知らずの人に使う言葉ではない
ましてやその家族にとって良いと思われる情報を教えてあげているのに・・・
私は呆れ返って「嘘だと思うなら、そこの案内所で聞いて来たらどうですか」といった
しばらくして、その母親は観光案内所に行って私が言う事が正しいと気づいたらしく、父親とちょっとした口論をしていた
私はその会話を聞くに堪えられなくなり、その家族と距離をとった
しばらくして私が予約したタクシーが現われたので、私たちは後部座席に乗り込んだ
すると、その父親が素早く私が頼んだタクシーの助手席に乗り込み、運転手に向かい、蚊の鳴くような声で「お願いします!」といった
(私に対してではない)
これには運転手も驚き、私の方を振り向いて(相乗りいいんですか?)と言わんばかりに視線を送ってきた
私は、まず最初に父親はタクシーを頼んだ私たちの了解を取るべきだろうと思っていたので返事もしなかった
多少困惑気味の運転手はタクシーを走らせ、その父親を車山肩で降ろした
降りる時、普通は「お世話になりました」とか「助かりました」とか「突然ご迷惑をお掛けしました」とか言うだろう
しかし、その父親は終始無言だった
たぶんそこにマイカーを置いてあり、これから家族を迎えに行くつもりなのだろう
そうこうしている間に、タクシーは車山スキー場に着いた
私がタクシー料金を支払って外に出ると、どしゃ降りの雨が降ってきた
私と妻は急いでマイカーに乗ると妻が言った
「パパ、よく我慢したね!」
私は
「あの夫婦、ひとこと『一緒に乗せてもらっていいですか?』と言えたらスムーズに事が運ぶのになぁと思ってたんだ」といった
人間社会の中で。仕事を円滑に進めるために頭を下げることなんて山ほどある。
むしろ頭を下げることが世の中の潤滑剤になっている
安っぽいプライドが邪魔をするのか、それをいちいち嫌がっていたら物事は進まない
世の中には本当に頭の悪いクズ男やクズ女がいるものだと思った