紙芝居の思い出
思い出シリーズが続きます。
私の祖父(父方)は静岡県沼津市浅間町に住んでいました。
近くには狩野川が流れ、夏の花火大会の頃は祖父の家に行くのが楽しみでした。
ある日、いとこに誘われ、近くの浅間神社に行くことになりました。
こんなところです。
私は「神社で何して遊ぶんだろう・・・」と不思議に思っていたら、自転車に大きな荷物を載せたおじさんが現われました。
おじさんの周囲には子どもたちが集まります。
私たちも遅れをとらないように走ります。
子供たちが10円~30円くらいのお金をおじさんに手渡すと、丸いウエハスのようなお菓子に手製のジャムを塗って、顔や動物の形にしてくれます。
こんな感じだったかな?!
ドドドドドドーン!
ひととおり駄菓子を配り終えると、太鼓の音が響き渡りました。
駄菓子屋のおじさんが紙芝居の弁士に早変わりです!
「わはははは~! 今日のお話は黄金バットだよ!」
子供たちは「待ってました!」とはいわなかったけど、割れんばかりの拍手です。
紙芝居のおじさんの語り口が上手なので、子どもたちは物語にどんどん引き込まれていきます。
途中、黄金バットがピンチに陥り負けそうになると、子どもたちの中が悲鳴が上がります。
「黄金バットを助けなくちゃ! 」
「どうしたらいいだろう? みんなで応援してくれるかな!」
さすが紙芝居のおじさん、視聴者参加型のエンターテイメントを心がけています。
すると、間髪入れず
「黄金バットがんばれ~!」
と子どもたちの声が飛び交います。
「みんなの応援のおかげで黄金バットは立ち上がった!」
「エイ! ヤー! ナゾ―の一味をやっつけろ!」
正義が悪を倒す「勧善懲罰」の基本です。
正義のヒーローを成立させるためには悪者が必要になります。
黄金バットには黒バット。
仮面ライダーにはショッカー。
バットマンにはジョーカーのように。
映画「ダークナイト」の中で、ジョーカーがバットマンに対して「お前には俺が必要なんだ!」といったセリフは有名です。
事実、犯罪が起こらなくなったゴッサム・シティーには、バットマン不要論が起きてしまいます。
話が逸れてしまいましたが、最後には正義が栄え悪が滅びるという「勧善懲罰」の世界は昔から根付いているんだなぁと確信しました。
さて、現代の世の中は複雑に入り組んでいて、どちらが正義で、どちらが悪なのか良くわからない事象が一杯あります。
黄金バットやバットマンが実在するのなら、ぜひ現代の社会に出てきて世直しをして欲しいものです。