再雇用制度③ 『一身上の都合』
再雇用制度①で、退職者はいかにつまらない仕事をさせられるのかについて書いた。
再雇用制度②で、贅沢をしなければ何とか生きていけそうだということが分かった。
再雇用制度③では、如何様にして仕事を辞めたら良いのかについて書きたいと思う。
「そんなの簡単じゃん! 『辞~めた!』と言えばいいんだよ」
と思われる方もいると思うが、そう簡単にはいかない。
私の勤めていた会社は超が付くほど地域密着型組織なのだ。
例えば、詳しくは書けないけれど、ひとつ辞め方を誤ると、もうその地域には住んでいられないくらい後々何かと引きずる会社なのだ。
(因果応報?)
実は、退職後に引っ越した理由のひとつも、少なからずそれに関連している。
辞める時期は年度末か上半期終了時、辞める意思表示は2か月前だが、なるべく早めに職場に知らせた方が良い。
これを守らないと人事部に迷惑を掛ける。来年度の人事異動や新規採用者の募集に影響するからだ。
とりあえず退職届はワードで作成し、署名捺印をして完成した!
思いの外、あっけないほど簡単に出来上がった。
問題は退職の理由だ。
これは退職者の心証を害さないためか、また外部に悪い評判を広めて欲しくないのか、意外としつこく聞かれる。
しかし、私は上司に対しても人事部に対しても同僚に対しても、すべて『一身上の都合』で貫き通した。
まさか「馬鹿馬鹿しくてやってられん」とは、口が裂けても言えない。それに、人事部の連中は百戦錬磨だから、下手に嘘をつくとすぐにバレてしまう。
だったら、最初から嘘はつかずに何を言われても『一身上の都合』を貫き通すのが賢明だと考えた。
『一身上の都合』、なんて便利な言葉なんだろう。
かくして63歳になる年の9月、私は2度目の送別会を開いていただき、めでたく(?)退職したのだった。