旅で出会った人たち①
若かった頃、私はバイクで北海道を旅していた。
ある日、上士幌町にあるナイタイ高原牧場にバイクを停め、眼下に広がる十勝平野を眺めていた
天気が良いと眼下に十勝平野が広がる
ナイタイ高原牧場には古びたトラクターが置いてあった
すると、一人の妙齢の女性が私に近づいてきた。
その女性は私のバイクのナンバープレートを見ると
「千葉から来たのですか?」と尋ねてきた。
私は女性から声を掛けられることなどめったに無かったので、ドギマギしながら
「ええ、そうです」と答えた。
するとその女性は
「私も千葉県出身なんです! でも、北海道の壮大さに魅せられて、北海道の人になりたいと思って北海道で就職し、北海道の男性と知り合って結婚しました。」
私はその唐突でありストレートな言葉に驚いてしまった。
更には
「今では子どもも授かり、本当の北海道人になれました!」
と、晴ればれとした表情で語ってくれた。
「それはおめでとうございます」
と、2、3言葉を交わした後、笑顔で手を振りながら立ち去って行った。
私だったら・・・
北海道で安定した仕事が見つけられるだろうか。
素晴らしい伴侶に巡り合えるだろうか。
夏は過ごしやすいが北海道の冬は厳しい。
と思うと躊躇してしまう。
夢に向かって努力しないと夢は夢で終わってしまう。
人生に目標を持って、それに向かって突き進む。
なんて勇気のある女性なんだろうだろうと感心してしまった。
ひょっとしてこれは夢だったのか、それとも神様の啓示なのかと、ふと思った。