我が家の前で捕り物?
ラジコン飛行機を飛ばしに行った帰り、私は車を車庫に入れようとしていた。
すると、そこには高齢の男性が立っていて、なかなか退いてくれない。
「危ないから、そこを退いてくれませんか」というと、ヘラヘラと笑いながら後ずさりした。

最初、訪問販売か悪徳事業者かと思った。
ラジコン飛行機を車から降ろして玄関に入れるには、胴体、翼、工具関係、燃料関係と順番に降ろすので、何往復もする。
その間、門や玄関を開けっぱなしにしなければならない。
案の定、その高齢男性は門に手を置き、庭の中に入ろうとした。
「ちょっと、やめてください!」
相変わらず、ヘラヘラと笑っている。
「それ以上入ったら、警察を呼びますよ!」
それでも出て行こうとしない。私の脳裏には不退去罪が浮かんだ。
体力的には私の方が優位だと思ったので、その高齢男性の腕を取り道端に誘導して110番通報をした。

以下、「」は私のセリフ、『』は警察のセリフ、{}は高齢男性のセリフ
『事件ですか? 事故ですか?』
「私の家の前から出て行かない人がいるんです!」
『容姿を教えてください』
「70歳代と思われる男性、言葉は何を言っているかわかりません」
『痴呆かも知れませんね、今警察官を向かわせますので、それまで身柄を確保してください』
そういって電話は切れた。
確保って・・・捕まえておくの???
幸か不幸か、その高齢男性は逃げようとしなかった。
抵抗する様子もなかったので、私も冷静になれた。
「お爺ちゃん、何処から来たの?」
{あっち}
遠くを指さしている。
「家族の人はいるの?」
{〇×▼▢※・・・}
「お家はどこ1?」
{〇×▼▢※・・・}
手荷物を見せてもらいたかったけど、私には調査権はない。
近所の人がこちらを見てる。
困ったなぁと思っていたら、15分後に警察官が白カブに乗って到着した。

※写真は本文とは無関係です。
警察官もひとことふたこと、会話にならない会話を交わしたがお手上げ状態だった。
身元が分かるか、家族からの捜索願が出るまで本署で預かることになった。
「これって福祉行政の仕事では?」
『そうなんです。ったく役所の奴ら、土日は何もしないんだから・・・』

私は元市役所職員だったことを伏せた。
緊急の場合は、市の守衛室から高齢者福祉課長に電話が入り、担当職員が駆けつけることになっているのだが、私が勤めていた役所と私が住んでいる役所は違うので、うかつなことは言わなかった。
「包括支援センターはどうなんでしょう?」

『まず無理でしょう』即答だった。
それから更に15分が経って、ようやくミニパトが現われた。

その高齢者は何の抵抗もなく素直にミニパトに乗った。
「高齢社会の到来で、このような事案は増えていくでしょうね」
『もう、とっくに増えてますよ。高齢と障害はしょっちゅうです』
「ご苦労さまです」
『ご協力ありがとうございました』
警察官はそう言って白カブに乗った。

※写真は本文とは無関係です。
私は警察官が見えなくなるまで見送った後、高齢社会の到来を、私の家の前で、しかも身をもって体感してしまった。
ではまた!
See you !