私が３０代の頃、ラジコン飛行機が楽しくて楽しくて仕方がなかった。

ラジコン飛行機から始めてラジコングライダー、ラジコンヘリコプターにまで手を広げていた。

ヘリコプターにはオートローテーションという技術があって、飛行中にエンジンが止まっても、そのままローターが回り続けてヘリは滑空し、地上寸前のところで思い切りフレアを掛けて無事に着陸するという方法をいう。

これがまた難しくて、当時は教えてくれる人もいなくて、３２クラスでも1回失敗すると
６千円から１万円くらい修理費がかかった。

おかげで分解修理には慣れたものの、私の少ない小遣い(月２万円)では、次の給料日まで修理できないという日々が続いた。

そんな貧乏な私でも、ささやかな夢があった。

それは、本物のモーターグライダーのライセンスを取得することだった。

利根川河川敷に係留されているモーターグライダー。
この流麗なスタイルと優雅に空を舞う姿に魅了された。

当時、モーターグライダークラブに入会してライセンスを取るまで、おおよそ２００万円掛かるといわれ、庶民の私にとっては果敢ない夢で終わった。

６０歳になり、親しい仲間と宴会をしていた時、ある友人から
「一緒にモーターグライダーのライセンスを取らない?」
と誘われた。

今となっては２００万円の費用は出せないことも無いが、前期高齢者の私は運動神経が鈍り、情熱も薄れていた。

あこがれのラインパイロット

「Mayoibito Air 747, Runway 34 Left at Whisky 2, cleared for take off」

若い頃はカッコいいと思っていた管制塔との交信も、テネリフェの悲劇を知った今では、責任の重さをひしひしと感じるようになった。

そんな胃の痛くなるようなことをしてるくらいなら、ビジネスクラスで美味しい機内食を頬張り、好きな映画を見ていた方が快適ではないか。
と思うようになった。

時は既に遅し!　It’s too Late !

何がいいたいかというと
若い時は情熱はあるが金が無い。
歳を取ると金は出来るが情熱は薄れる。