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心に残る映画⑤「OEIL POUR OEIL 眼には眼を」

今回、ご紹介する映画はこれ。
「OEIL POUR OEIL 眼には眼を」


私が小学生低学年のころ白黒のテレビで見たときに、ものすごい衝撃を受けた映画です。

最近、TSUTAYAのレンタルDVDで見直して、大変懐かしかったのでご紹介します。
当時のテレビで見た時は白黒でしたが、レンタルDVDではカラーでした。


〔概要〕
1957年に製作されたフランス映画。私が生まれた翌年に公開された映画ですから、もちろん私は映画館では見ていません。
アメリカの駆逐艦とドイツの潜水艦が戦う名作映画「眼下の敵」の潜水艦の艦長を演じた個性派俳優クルト・ユンゲルスが主人公のバルテル医師を演じています。


〔ストーリー〕
主人公のフランス人医師バルテルは、シリアの病院の勤務を終えて自宅でくつろいでいるところに1本の電話が入る。
「妻の具合が悪いので診て欲しい」とお願いする患者の夫のボルタクに、バルテル医師は「病院に当直医がいるから、そちらに行ってくれ」と返事をする。
ボルタクは妻を連れて病院に向かうが途中で車が故障してしまう。彼は瀕死の妻を抱えて歩きながらやっとの思いで病院に着いたが、当直医の誤診により妻は死亡してしまう。
ボルタクは、最愛の妻の死はすべてバルテル医師のせいだと考え、復讐を誓うのだった。


ある日、バルテルは奥地の村の患者の治療に向かうが、そこは貧困のスラム街で、バルテルの西洋医学による治療を拒否される。やることが無くなったバルテルが帰ろうとすると、乗ってきた自動車を村の子ども達に分解されて帰れなくなる。そこで偶然を装ったボルタクと遭遇する。
村を通るバスは1週間に1本しかないので、バルテルは帰り道に詳しいボルタクと砂漠の中を歩いて帰ることを決意するのだ。


帰路の途中、工事用のゴンドラでボルタクはバルテルの食料や飲み物をわざと落とす。

恨みを持った相手とゴンドラに乗る。「呉越同舟」とはこのことか。


のどが渇いたと訴えるバルテルを遠回りをさせて空井戸に案内したり、執拗に嫌がらせをするボルタク。

食糧もなくのどが渇いて疲弊するバルテル医師(右)の横で、のうのうと食事をするボルタク(左)。まさに嫌がらせの極み。


ついにバルテルは反撃に出る。ナイフでボルタクの腕を切りつけたのだ。
「このまま放っておくとお前の身体は腐り始めるから、死にたくなかったら街に案内しろ!」といってボルタクに迫る。
2人は街に向かって歩き出すのだが、やがてボルタクは出血がひどくて歩けなくなる。
「バルテル先生、俺はもう歩けない。この先に町があるから先に行って救援をよこしてくれ」
「よし、分った。必ず助けに来る」
最後の力を振りしぼってトボトボと歩くバルテル。それを見送って高笑いをするボルタク。「先生!お元気で。 よい旅を!」
しかしボルタクの指さした先には街などなく、広大な砂漠が広がっていたのだ。


〔感想〕
この映画のテーマは「自分の命を失ってまでも、人は恨みを晴らそうとするものか」のひと言に尽きる。
私だったら自分の命をかけてまでも恨みを突き通すエネルギーはない。それよりも未来のことを考えて生きる方が有益だからだ。
日本は第二次大戦で広島と長崎に原子爆弾を投下したアメリカとも今では友好国だ。一方で70年も前の嘘か本当か分からない事を持ち出して、何度も謝罪と賠償を求めてくる国もある。かの国の未来志向とは、いったい何なのだろうか。


子どもの頃、私がこの映画を見た晩、怖くて眠れなくなった。今、DVDで見直してもボルタクの罠が実に巧妙で恐ろしい。
現代映画のように、何億円もかけたCGや派手なアクションシーンなどなくても、観客に強烈な印象を与えることが出来ることを証明した作品である。


新型コロナウイルスの関係で映画館は閉鎖しているが、TSUTAYAでレンタルできるので、是非見ていただきたい。

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