ためらわない,迷わない

仕事を辞めた。そして自由人になった・・・。

さっぽろ雪まつりに行こう! ③ ~No-Show 待ち人来たらず~

いよいよ雪まつりに行く日が来た。
私の車は飛行機が出発する1時間20分前に成田空港第3駐車場に着いた。
まずまずのスケジュールである。


コロナで3年間のブランクがあったせいか、チェックインカウンターは観光客で混み合っていた。
これではオンラインチェックインは「事前にしておいた方が良い」ではなく「しておかないとダメ!」なレベルだ。


私たちは前もってオンラインチェックインを済ませていたので、チェックインカウンターを素通りして保安検査場に向かった。
そこは世界各国から来たと思われる観光客でごった返していた。


保安検査機は4列。
最近の検査は厳しく、上着を脱いでポケットの中身をすべて提示するのは当たり前で、靴を脱いでスリッパに履き替えで検査を受ける。


時間がじりじりと過ぎていく。
この乗客の数ではとても間に合わない。


更には「既にチェックインを済ませたお客様、保安検査で遅れた場合でも、飛行機は定刻で出発しますのでご了承ください」
という無情なアナウンスが響いた。


「ひぇ~! 本当かよ?!」


確か25分前には搭乗口に着かないと飛行機に乗れないとチケットに書いてあった。
私たちが検査が終わったのは15分前だ。
急いで搭乗口まで行くと、既に搭乗は始まっていた。


グランドスタッフに「すみません~!」と軽く会釈をして機内に入ったら、なんと30%も座席が埋まってないではないか。

私たちはてっきり最後かと思っていたら、まだまだ後の乗客がいたのだ。


定刻になっても乗客は50%程度。
それでも飛行機は飛ばない。
アナウンスでは「定刻で出発する」と言っていたけど、あれはブラフだったのか?!


定刻を30分過ぎて、ほとんどの乗客が座席に着いた。
それでも飛行機は飛ばない。
と思ったら、いきなりCAが乗客の数を数え始めた。


やばい! No-Showだ!
No-Showとは、チェックインが済んだのに搭乗口に現れない客のことだ。


昔、海外で爆発物の入った荷物を預けたテロリストが飛行機に乗らず、そのまま飛行機が離陸し爆発炎上そして墜落という深刻な事件があった。
それ以来、チェックインした乗客の数と機内に搭乗した乗客の数を厳格に一致させなければ飛行機は飛べなくなった。


それを知らない後方の乗客が「早く出発しろよ!」などと勝手なことを言っている。


CAは「申し訳ございません。ただ今、人数の確認をさせていただいております。」と丁重に謝りながら操縦席と頻繁に連絡を取り合っている。
まさか「爆発物が乗っている可能性もありますから・・・」とは口が裂けても言えない。


今頃グランドスタッフも大きな声で乗客の名前を呼びながら走り回っている事だろう。


「もう揃っただろ!」
「来ない奴はおいてけよ!」
またまた先ほどの客がCAに罵声を浴びせている。


昔のスチュワーデスは憧れの職業だったが、今のCAはクレーマー対応に追われて人気がないというのも分かる気がする。


やがてガタゴトと荷物室が開く音がして、現れない客の荷物を降ろし始めた。

赤丸の中が現われなかった乗客の荷物


すべての乗客の荷物の中からNo-Showの荷物を探し出すだけでも大変な作業だが、降ろすしか方法はない。


最先端の技術により構築されている飛行機や空港の運航システムも、人間の不道徳な行為によって、もろくも崩れ去るものだと痛感した。

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