思い出の車① レオーネ1400
思い出のバイクに関しては一通り書いたので、今度は車について書いていきたいと思う。
昭和50年頃、私の家は貧乏だった。
サラリーマンの父親は住宅ローンを抱え、2人の息子を大学に出すために、かなり節制した生活を送っていた。
父親は「車は維持費がかかるから」という理由で消極的だったが、母親は「社会人になったら車の運転は必要になる」ということで、我が家もマイカーを持つことにした。
両親を駅まで送迎するという条件で、両親1/2、兄1/4、私1/4の出資比率で中古のスバルレオーネ1400を50万円で購入した。
私はあまり好きになれなかったのだが、残念ながら免許を先に取った兄に選択権があった。
正直にいうと私はギャランに乗りたかった。
直線的で室内が広く、クリーンな印象が好きだった。
レオーネが家に来て、まず感じたのは屋根が低くて狭いことだ。
特に両親は2ドアなので後部座席への乗り降りがし辛いことをさかんに訴えていた。
兄は背の低い2ドアハードトップの車はカッコいいと信じていたようだが、私に言わせれば、デザインがプアな車は何をやってもカッコ良くならない。
(現在のスバルの車は改良されています)
先ずは運転席に座って、アクセルの上に足を置く。すると右前輪のタイヤハウスを踏んでしまう。
右前輪のタイヤハウスを避けるために運転席を左にオフセットしているので、アクセル、ブレーキ、クラッチのペダルの間隔が軽自動車並みに狭い。
教習所でグロリア・セドリックに乗っていた私にとっては
「なんじゃこりゃ~?」と言いたかったが、兄の手前グっと堪えた。
兄は、さかんに水平対向4気筒エンジンのメリットを強調するが、免許取りたての私にとっては、その効能が今一理解出来なかった。
それどころか、FWD(前輪駆動)のアンダーステアが強い。
山道のカーブで対向車が来ると自然とアクセルを緩める。すると、車はカーブの内側に切れ込んでいくという恐ろしい現象が起きた。
(現在のスバルの車は改良されています)
また、ミッションを長いリンケージロッドを通して操作するため、シフトの感覚がグニャグニャで、シフトチェンジにはコツが必要だった。
水平対向エンジンは前輪のステア角の制限を受け、圧縮比を大きく取れないため燃費が悪い。
街中を普通に走っても1400ccなのにリッター7Km台となり嫌気が差してしまった。
(現在のスバルの車は改良されています)
そんなこんなで、レオーネは兄にだけ好評で、私と両親には大変不評な車となった。
気に入らない車に乗っていると不幸を呼び寄せるのか、雨の日の下り坂の赤信号で停車していたら、後方から来たトラックに追突され、レオーネは全損。
おまけに私はムチ打ち3か月という重傷を負ってしまった。
そんな訳で、スバルファンには大変申し訳ないのだが、私はスバルに対するイメージが良くない。